表ソフトラバーの違いを徹底解説!回転系・スピード系・変化系の選び方と使い方

卓球はラケットにゴム製のラバーを張り、ボールを打ち合うスポーツです。

ラバーの種類の中には、裏ソフトラバー、表ソフトラバー、粒高ラバーなど数多くの種類があります。

その中でも、表ソフトラバーには「回転系表ソフト」「スピード系表ソフト」「変化系表ソフト」の3種類のラバーがあり、表ソフトラバーの違いについてわからない方も多いと思います。

私も最初は表ソフトラバーの違いが分からず、試合でも苦労をしていました。

表ソフトラバーを使用している選手にとっては、表ソフトの種類の違いは身近な話題ですが、裏ソフトラバーを普段使用している選手や、卓球を始めたばかりの方にはあまり馴染のない話題かもしれません。

初心者・中級者の選手や、裏ソフトラバーを使用している選手からすると、すべての表ソフトラバーが、「ナックルが出やすくてスマッシュの威力がある」といった、同じ性能を持つように感じてしまいます。

しかし、「回転系表ソフト」「スピード系表ソフト」「変化系表ソフト」はそれぞれ違った特徴があり、どの表ソフトラバーを使用するかによってプレー自体も大幅に変わってきます。

回転系表ソフトスピード系表ソフト変化系表ソフトをそれぞれ使用している選手はこれらの違いについて知っており、使用している表ソフトラバーの種類によって異なった考え方や戦術を用いています。

この記事では、表ソフトラバーの基本として、初級者~中級者の表ソフトユーザーや、表ソフトについて詳しく知りたい方に向けて、3種類の表ソフトラバーの違いについて解説します。

目次

そもそも表ソフトラバーとは?

卓球には裏ソフトラバー、表ソフトラバー、粒高ラバー、アンチラバーの種類があります。

表ソフトラバーの特徴は、「よく弾む」「自分から回転を掛けることを裏ソフトラバーほど得意としていない」「その代わりに相手の回転の影響を受けにくい」といった特徴のラバーです。

見た目の特徴としては、表面につぶつぶが沢山あることが特徴です。

現在、最も多くの選手が使用しているラバーは裏ソフトラバーで、裏ソフトラバーの特徴は「よく弾む」「自分の打ったボールの回転が掛かる」というメリットと、「相手の回転の影響を受けやすい」というデメリットを持ったラバーです。

裏ソフトラバーの特徴は表面がゴムシートになっており、平面であることが特徴です。

粒高ラバーとアンチラバーは特殊なラバーで、「あまり弾まない」「自分から回転を掛けることを全く得としていない」「ナックルボールで返球することを得意としている」といった特徴のある変わったラバーになります。

表ソフトラバーは表面がつぶつぶであるため、裏ソフトラバーと比べてボールが当たったときの表面積が少なくなります。そのため裏ソフトラバーよりも自分から回転を掛けることが難しく、相手からの回転の影響を受けにくくなります。

また、表ソフトラバーはボールに当たる面積が小さいことで、ボールとラケットの接触時間が短くなる(球離れが早くなる)ため、これを活かした戦術を用います。

これが表ソフトラバーを活かした、台の近くでプレーをする前陣速攻型の戦術になります。

表ソフトラバーは3種類の種類があり、それぞれに特徴が異なります。ここからはそれぞれの表ソフトラバーについて詳しく説明していきます。

回転系表ソフトラバー

現在、アマチュア選手、プロ選手の中で最も使用されている表ソフトラバーが回転系表ソフトです。

表ソフトラバーの中で最も使いやすいタイプの表ソフトであり、後述するスピード系表ソフトラバーと裏ソフトラバーの中間の性能を持ちます。

裏ソフトラバーから表ソフトにラバー変更する人は、まず回転系表ソフトラバーを試すと良いと思います。裏ソフトラバーに最も感覚が似ているので、ラバーの変更後に違和感が少ないと思います。

昔から使用されている代表的な回転系表ソフトラバーといえば、スピンピップスが有名です。

スピンピップスは、表ソフトラバーの中でも、かなり回転の掛かるラバーになります。裏ソフトラバーと比べても遜色のないくらい回転がかかるため、切れたサーブが出せて、安定したドライブを打てます。

表ソフトラバーなのでスマッシュの攻撃もしやすく昔から人気があるラバーでした。

スピンピップスの回転量としては、下回転サーブでは相手がサーブの判断を誤ればツッツキがネットに引っ掛かりミスするくらいにはサーブを切ることができます。

ドライブもキチンと弧線を描いて相手のコートに入ります。相手選手がドライブをブロックした際にはドライブの上回転によってブロックしたボールが浮きます。

私がスピンピップスを使用した感覚としては、扱いやすいラバーで、かなり回転が掛かる印象を持ちました。

(TSPからVICTASへの移行のためスピンピップスはパッケージが変わりました。)

テンション機能内蔵の回転系表ソフト

スピンピップスは、長らく表ソフトユーザーに使用されていたラバーですが、明らかに弾みが物足りない欠点があります。

10年以上前は、補助剤としてスピードグルーを使用することが出来ました。

そのため、スピンピップスは多くの選手に使用されていたいましたが、グルーが使用禁止になり、スピンピップスが弾まない欠点が目立ってきました。

ボールが40mm、プラスチックボールと変化をしていくつれて、スピンピップスの弾まない欠点はさらに目立つと思います。

そこで今人気のある表ソフトといえば、回転系表ソフトの弾みの不足を解消させたラバー、すなわちテンションが内蔵された回転系の表ソフトラバーになります。

テンションを内蔵した回転系表ソフトラバーは回転もかかるうえに、しっかりとスピードもでるラバーになっており、表ソフトラバーの中でも人気のあるラバーです。

具体的には、VO>102ブースターSAなどのラバーになります。

これらのテンション機能を内蔵した回転系表ソフトラバーは、ほぼ似た性能であるものの、今現在特に人気があるラバーがVO>102です。

以前はブースターSAが人気がありましたが、VO>102の方が柔らかく回転をかけやすいため使いやすいという理由で人気があるようです。

VO>102は、開発コンセプトとして、裏ソフトテンション系ラバーに打ち勝つためのラバーとして開発されています。そのため、ブースターSAと比べてラバーが柔らかく、球持ちがよいため攻撃がしやすくなっています。

(ただ、ブースターSAとVO>102はかなり似たラバーで、差はごくわずかです。)

私もVO>102を使用してみましたが、とても使い勝手の良いラバーで攻撃がしやすく、表ソフトラバーの革命的存在だと感じました。

サーブもしっかり回転が掛かり、ミート打ちでの攻撃も非常にしやすいラバーです。

ドライブもしっかりと回転が掛かり、ドライブだけでも得点ができるくらいに威力が出ます。

VO>102、ブースターSAはどちらも裏ソフトラバーなみに回転が掛かり、スピードも出ます。

回転系表ソフトにてミート打ちを打つ際には、多少の上回転がかかるため安定した強打になりやすいです。自分から攻撃をしていくことに適しています。

サーブから先手を取りたい選手や、表ソフトラバーを使いながらもドライブも多用して攻めていきたい選手はVO>102やブースターSAを使用すれば、良い選択になるでしょう。

唯一の欠点といえば、打ったボールがナックルになりにくい点だと思いますが、攻撃のしやすさや安定感のメリットの方が大きいので、今現在多くの表ソフトユーザーに使用されているラバーになります。

スピード系表ソフトラバー

表ソフトを使用したことのないシェークドライブ型の選手が、最初に想像しやすい表ソフトラバーといえば、このスピード系表ソフトです。

表ソフトラバーの特徴である、ナックルが出やすくてスマッシュが打ちやすいというイメージ通りのラバーがスピード系表ソフトになります。

ペン表速攻型の選手だけでなく、シェークのバック表の選手で、

フォア側の裏ソフトとバック側の表ソフトで変化をつけたい選手も、スピード系表ソフトを選ぶケースも多いです。

スピード系表ソフトラバーで代表的なラバーはスペクトルになります。

(TSPからVICTASへの移行によって、スペクトルのパッケージが変わりました。)

スペクトルは、1977年の世界卓球選手権バーミンガム大会で優勝した河野満選手が使用したラバーでもあります。40年以上の長い間、使用され続けている表ソフトラバーです。

スピード系表ソフトの最大の特徴は、相手の回転の影響を受けにくいことです。それを利用してスマッシュやミート打ちで攻めていきます。

例えば、スピード系表ソフトを用いたペン表速攻型の選手は、ラリーをスマッシュ等の強打で終わらせることを念頭にラリーや戦術を組み立てています。

スピード系表ソフトを使用する選手はサーブで得点することよりも、サーブでチャンスボールを作り、3級目攻撃や5球目で攻撃をする戦術を多用することが多いです。

こちらのサーブではショートサーブとロングサーブを織り交ぜることで相手の強打を封じ、相手に繋ぎのドライブを打たせて、それをスマッシュでカウンターしていく戦術を使用していきます。

これはスピード系表ソフトが、裏ソフトラバーや回転系表ソフトラバーと比較してサーブでの回転が掛かりにくいことと、3球目攻撃、5球目でミート打ちがしやすいということが関係しています。

相手の下回転ショートサービスに対しては、フォアハンドのフリックを多用して先手を取り、4球目のフォアハンド強打につなげていきます。

もしくはレシーブで逆に非常に短く止めるストップで相手の体制を崩し、4球目のミート打ちに繋げていきます。

シェークのバック表にスピード系表ソフトラバーを張る選手は、バックハンドを前陣の速い打点で打っていき、ピッチで相手を振り回していくといった戦術を取ります。

このようにシェークのバック側に表ソフトラバーを張っている女子選手は多く、伊藤美誠選手、前田美優選手や、森園美咲選手などの多くのプロ選手が用いている戦術になります。

シェークのバックにスピード系表ソフトを張る場合は、フォア側とバック側のボールの球質の違いにより相手選手のミスを誘うことも狙いの一つです。

参考記事⇒【スペクトル】表ペン選手にオススメなスピード系表ソフト【卓球】

テンション機能内蔵のスピード系表ソフトラバー

テンション機能を内蔵しているスピード系表ソフトラバーで最も人気のあるラバーはモリストSPになります。

モリストSPは伊藤美誠選手が使用していることでも有名なラバーです。

モリストSPはスピード系表ソフトの中でも、やや回転系表ソフト寄りのラバーです。

テンションを内蔵したスピード系表ソフトの中でも扱いやすいラバーで、テンションを内蔵しているため弾いて打った時にスピードも出ます。また自分から回転もかけることが出来る隙の少ないラバーです。

そして自分が扱いやすいのにかかわらず、ナックルボールも自然に出るといったことから人気があります。

テンションを内蔵したスピード系表ソフトラバーとしては、TSPからスペクトルレッドなど、各社から発売されていますが、

回転のかけやすさ、打球のスピード、ラケット扱いやすさ、質の高いナックルのトータルバランスの良さから、モリストSPが一番人気です。

もちろんシェークのバック表にもオススメできるラバーです

伊藤美誠選手のように前陣速攻で、フォアでもバックでもバンバン攻めたいタイプの人は、モリストSPが良い選択になると思います。

変化系表ソフトラバー

変化系表ソフトラバーは、ナックルボールの出しやすい特殊なタイプの表ソフトラバーになります。

表ソフトの中でも、粒の高さが高いことが特徴で、粒高ラバーとスピード系表ソフトラバーの中間のような性能をしています。

最大の特徴はナックル性のボールが非常に出しやすいことです。変化系表ソフトラバーを張ってフォア打ちをするだけで、相手選手はミスをすることが多くなります。

回転系表ソフトやスピード系表ソフトと違って、自分が変化系表ソフトを使用してプレーすること自体が難しいですが、その分、非常にいやらしいナックルボールを出すことが出来ます。

自分からサーブやドライブで回転を掛けることも難しく、フォア打ちやバックハンドも慣れるまでミスが増えて安定してプレーすることが難しいデメリットがあるため、卓球初心者がいきなり変化系表ソフトを使用すると苦戦をするかもしれません。

自分もやりにくいかわりに、相手もやりにくいといった中級~上級者向けのラバーになります。

変化系表ソフトで代表的なラバーはアタック8になります。

アタック8は、「スポンジの硬さ」や「スポンジの厚さ」や「粒の大きさ」が選べるため、非常に選択の幅の広いラバーになります。

種類が多く悩んでしまいがちですが、アタック8の中で最も使用しやすいと言われているのが「L粒、40°、厚」です。

このアタック8を使ってみて、使いこなせそうならばスポンジ硬度を41°、43°、48°と硬くしていきます。さらに変化をつけていやらしいナックルボールを出したいならばM粒に変更していきましょう。

逆に「L粒、40°、厚」のアタック8を使いこなせなければ、変化系表ソフトを使いこなすことが難しいので、スピード系表ソフトや回転系表ソフトを使用すると良いと思います。

(私はL粒、40°、厚を半年間使いましたが、どうしても使いこなせなくてスピード系表ソフトに戻しました。)

変化系表ソフトは、使いこなすのは難しいものの、使いこなせれば非常に強みを発揮する癖の強いラバーです。

もし対戦相手として変化系表ソフトと対戦した場合は、粒高と表ソフトの中間のラバーと対戦しているということを覚えておきましょう。

まとめ

表ソフトラバーを使用している選手でも、回転系表ソフトラバースピード系表ソフトラバースピード系表ソフトラバーのどれを使用しているかによって異なった戦術をしています。

表ソフトユーザーは、自分がどのようなプレースタイルを目指したいのかを考えてラバー選びをしていくと良いと思います。

対戦相手として、表ソフトラバーの選手と当たった際は、相手選手が回転系表ソフトなのか、スピード系表ソフトなのか変化系表ソフトなのかを確認し、どのような戦術を用いてくるのかの参考にすると良いと思います。

この記事が参考になれば幸いです。

参考記事⇒ペン表ソフト前陣速攻型にオススメのラバーとラケット

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